ボツリヌス治療
ボツリヌス療法
ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。
ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があるため、筋肉の緊張をやわらげる効果が期待できます。 ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
- つっぱったり、こわばっている筋肉に、直接お薬を注射します。
- 注射した筋肉のつっぱりやこわばりをやわらげます。
痙縮(けいしゅく)
上下肢の痙縮(脳卒中や頭部外傷などの後遺症により手足の筋肉がつっぱったりこわばったりしている状態)、眼瞼けいれん(瞼がけいれんする病気)、片側顔面けいれん(顔の筋肉が収縮する病気)、痙性斜頸(首が斜めに曲がってしまう病気)、小児脳性まひの下肢 痙縮に伴う尖足(つま先が伸び、かかとが床につかない状態)といった疾患を持った患者様が、保険適用で治療を受けられます。
通常では、治療後4~5日で効果が現れ、またその効果は 3~4ヶ月持続します。
痙縮について
- 筋肉が緊張しすぎてしまう状態で、手足がこわばったり、つっぱったりします。
- 片まひと同じ側の手足にあらわれることがほとんどです。
痙縮において
ボツリヌス療法が
期待できる効果について
日常生活がしやすくなります
リハビリテーションがしやすくなります
関節が固まって動きにくくなったり、変形するのを防ぎます
介護の負担が軽くなります
治療スケジュール
- 治療目標設定、投与日予約
- 投与
- 受診(1~2回) 次回投与日予約
- 投与
痙縮によって困っていることなどを医師と相談し、治療の目標を決め、投与日の予約をします。
初回投与を行います。
経過観察
医師と症状を相談しながら、次回投与日を予約します。
経過観察
2回目投与を行います。
2回目投与以降は③~④を繰り返します。
※ 次の投与までの期間は個人差があります。
※ ②~④の期間の目安は、3~4か月です。
片側顔面けいれんについて
片側の顔の筋肉がピクピクとけいれんを起こす病気です。はじめは片側のまぶたにけいれんがみられ、徐々に口の周りにもけいれんが広がってきます。顔がゆがむ、顔が引きつるといった症状で受診されることもあります。原因の多くは、頭の中の大きな動脈が、顔面の筋肉を支配する神経を圧迫することで生じると言われています。頭部MRIで、原因となる血管やその他の原因病変を確認します。
治療には、ボツリヌス療法、抗てんかん薬などによる内服治療、手術(頭を開け圧迫している血管と神経を引き離します)があります。ボツリヌス療法は外来で行うことができます。けいれんを起こしている顔の筋肉に数か所注射を行い、4~5日でその効果が確認されます。しかし、数か月でその効果は弱まってくるため、通院して注射を繰り返す必要があります。